設計士ブログ
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こんにちは、エイト建築設計事務所です。
梅雨から夏にかけて、「家の中がなんとなくジメジメする」「気づいたらクローゼットにカビが…」というご相談が増える季節になりました。今回は、住宅の温熱環境を専門的に研究されている松尾和也先生の講義資料をもとに、「湿気」「結露」「カビ」「換気」の仕組みを、できるだけわかりやすくご紹介します。
「なんとなく除湿機を置いている」「とりあえず換気扇を回している」という方も多いと思いますが、仕組みを知ると、対策の効果がぐっと上がります。
4人家族が普通に暮らしているだけで、呼吸や汗などの人体から、入浴、調理、洗濯から、1日およそ10リットルもの水蒸気が住まいの中に発生していると言われています。ペットボトル数本分の水が、毎日空気中に放出されているようなイメージです。
さらに見落とされがちなのが「洗濯物の部屋干し」です。6kgの洗濯物を部屋干しすると、その重量の約60%、つまり3.6リットルもの水分がそのまま室内に放出されます。梅雨は最低でも2か月続き、しかも冬は外に干せない日も多いため、「気づかないうちに家の中に水をまいている」状態になりやすいのです。
天気予報などで見る「湿度○%」は、正確には「相対湿度」と呼ばれるもので、その気温で空気が含むことができる水分量に対して、実際にどれくらい水分が入っているかの割合です。同じ%でも、気温が変わると、空気中に実際に含まれる水分の量(絶対湿度)はまったく違ってきます。
例えば「10℃・80%」と「30℃・60%」を比べると、数字だけ見れば冬の部屋の方が湿っていそうですが、実際に空気中に含まれる水分量は夏の部屋の方が2倍以上多くなります。体感のジメジメ感や、カビ・結露のリスクを考えるときは、%表示の相対湿度だけでなく、実際の水分量(絶対湿度)で考えることが大切です。
空気は温度が下がるほど、含める水分量の限界(飽和水蒸気量)が小さくなります。暖かく湿った空気が冷たい窓や壁に触れて冷やされると、それまで気体でいられた水分が行き場を失い、水滴となって現れます。これが結露です。窓だけでなく、壁の中(壁体内結露)でも同じことが起こり得るため、断熱材や気密シートの設計・施工がとても重要になります。
カビと、木材を腐らせる「腐朽菌」は別のものです。実は、カビが生えているだけでは木材は腐りません。ただし、カビの発生条件と腐朽菌の発生条件はよく似ており、「カビが生えやすい環境=腐朽菌にとっても住みやすい環境」と言えます。カビも腐朽菌も、次の4つの条件がそろうと繁殖します。
木造住宅である以上、「温度」「栄養(木材)」「酸素」の3つは一年中揃ってしまっています。私たちがコントロールできるのは「水分」だけ。つまり、湿度をいかに管理するかが、カビ・腐朽対策のすべてと言っても過言ではありません。目安として、相対湿度70%以上の状態が3日以上続くとカビが増殖しやすくなるといわれています。
「24時間換気をつけているから安心」と思われがちですが、実は住まいの気密性能(C値=隙間の量を表す数値)が低いと、計画した給気口からではなく、壁や床のすき間から想定外の湿った外気がどんどん入ってきてしまいます。ある試算では、隙間が多い家では、給気口からの給気はわずか50%程度にとどまり、残りは制御できないすき間から入ってきてしまうとされています。
気密性能が高い住まいであれば、給気口からきちんと空気を取り込み、計画したルートで排気できるため、換気システム本来の効果(湿気のコントロール・花粉やホコリの侵入抑制など)をしっかり発揮できます。台風のときにまともに換気口を閉じられるかどうかも、この気密性能次第です。
住まいの湿気やカビの問題は、「なんとなく気をつける」よりも、水蒸気の発生源・絶対湿度と相対湿度の違い・カビの発生条件・気密性能と換気の関係を知ることで、ぐっと効果的に対策できます。エイト建築設計事務所では、こうした温熱環境の知見を踏まえた気密・断熱・換気計画で、一年を通じて快適で健康的に暮らせる住まいづくりをご提案しています。湿気やカビでお悩みの方、これから家づくりを考えている方は、ぜひ一度ご相談ください。